一向に縮まらない売上格差

営業力強化とは、売上格差の解消であり、少しでも、全員が、デキル営業になるようにすることである。

同じ商品を同じ営業時間で売っている。それなのに、デキル営業と普通の営業の売上格差は数倍あるのが普通です。

さらに、ダメ営業であれば、その格差は数十倍ということもありえる。売上拡大余地が大きい。

スキルアップ余地が大きい。そこを狙って、様々な改善策が実施される。しかし、それは無理、幻想にすぎない。

そもそもこの「デキル営業に育てる」という方向性が間違っている。もし、これがもっとも効果的な手法であれば、全員がデキル営業だらけになっているはずである。そんなことはない。いろいろな試みが実施されているものの、いつまでも変わらない。そろろろ180度発想を変える必要がある。また、発想を変えることで、そこには無限の可能性が広がるはずである。

巷の営業本は、どれが正しいのか?

アマゾンで「営業」の書籍を検索すると、3万冊以上検索される。営業の仕事をしているなら、その手の本を1冊ぐらいは読んだことがあるだろう。では、どの営業本が正しいのか?どの営業本を読めば、本当に売れるようになるのか?

ある意味、すべて正しい。ある意味と書いたのは、特定の状況において正しいということを意味している。

つまり、3万冊検索されれば、3万通りの「正しい」が存在する。たとえば、銀座での接客本が、ファーストフードの接客に応用できると思えば、そこにはやはり無理があるわけだ。これはあまりにもわかりやすい例であるが、営業本は、ある分野の、ある人の、すごく俗人的な世界の話ということになる。

また、売上を上げるということは、複数のノウハウが複合的に上手く絡みあっている状態であり、たとえ書かれているノウハウを1つ実践してみたところで、最終ゴールである「売上を上げる」ことはできない。それにも関わらず、営業本を読んで勉強しようとする。勉強は悪いことではないが、成果が出ない勉強からはそろそろ卒業しなければいけない。

お手本にされるデキル営業とは

企業起点、行動力、スキル、顧客起点など、どの視点で見るかで、デキル営業の定義は変わる。

顧客にとっては、デキル営業でも、企業にとっては、アイツは手間ばかり掛かり効率が悪いと言われているかもしれない。

つまり、デキル営業を定義すること自体に無理があり、上記の中で、どれか1つだけでも、デキルようになろうと努力しても、すべてが絡みあって、初めて成果が達成されるものなので、その努力は報われない。また、全部やれるのは、スーパーマンしかいない。スーパーマンを雇うことが出来れば大丈夫だが、所詮、それは無理な話である。

企業起点で見たデキル営業

  • 売上が高い
  • キャンペーン商品を確実に売ってくる
  • お客様に役立つことに徹している
  • 自社製品を使って顧客のビジネス上の課題を解決してく
  • 何をすべきかに気づかせる
  • お客様の心理を読む/心理状況を観察する
  • お客様の心の窓を上手に開く
  • ウオンツをニーズに変える
  • 共感させ、悩み不安、課題を解決する
  • 同じ説明でも与えるイメージが違う
  • お客様が解決したい優先課題を見つける
  • 心理戦に勝つ
  • お客様の迷いを断ち切ることにある

行動力から見たデキル営業

  • 目標達成意欲、行動力、向上心が強い
  • 数値目的を持って、毎日の営業活動を行っている。
  • 広い分野において情報を収集し、営業活動に活かしている
  • 顧客の細かな情報もよく知っている。
  • 顧客の経営や、かなり顧客に入り込んだ提案をする
  • 社内において、他の部署や上司部下の人脈が広い
  • 自社の仕入コストや販促コスト等、他部門の数字にも常に気を配っている

職能(スキル)からみたデキル営業

  • 自己表現能力:商品を積極的に薦めるプレゼンテーション能力
  • 顧客志向性:顧客の立場で考える
  • 達成志向性:売上に対する強いこだわり
  • 時間管理力:時間の有効活用
  • 情報収集力:顧客に必要な情報を積極的に集める資質
  • 折衝力:関係者、上司に対する交渉駆け引きをする力

顧客起点で見たデキル営業

  • 人間的魅力(パーソナリティ)
  • 専門知識:商品、顧客、業界、経営知識
  • コミュニケーション能力
  • 企画力、提案力
  • リーダーシップ能力(頼りになる)
  • 市場動向、消費動向、流通の変化をよく把握している
  • 新しい技術や知識を持っている
  • 商品知識関連知識を豊富に持っている
  • 積極的に情報提供、提案をしてくれる
  • 問題発見や問題解決能力を持っている
  • 提案が論理的で納得できる
  • 約束事項、依頼事項の処理が確実である
  • 礼儀正しい、謙虚である、素直、誠実、ユーモアのセンスがある

SFAで見えてしまった現実

SFA(営業支援システム)というものがある。これは、デキル営業に近づけるためにITを活用することである。

デキル営業の手法を徹底的に分析し、それをシステムに組み込むことで、誰もがデキル営業に変身させようとするものである。

そして、日常の営業活動の中にITを組み込むことで、否応なしに日々実践せざるおえず、やがてスキルアップやノウハウ化が定着し、デキル営業へ変身させるという発想に基づいている。

しかしながら、信頼しているお客さんが言った言葉が印象的だった。SFA(営業支援システム)では「営業のスキルアップにつながらない。やっぱりコイツはダメだな~が明確になるだけ」。

このSFAのシステムを本業としている自分にとっては、かなりショッキングであったが、思ったような成果があがらない理由は何か?これが、この本を書くきっかけになっている。

人は、そもそも優秀な人からは学べない

「君は出来るからイイよねを言われる」と、馬鹿らしくなる。土日も関係なく、いつも仕事のことを考えている。

アタナが提案書を作るのが遅いのは、日頃から考えていないからで、ゼロから考えていれば、時間が掛かるのは当然。

自分は、日頃から考えて準備もしている。だからスピードよく提案書も作ることができる。

また、営業を進める上で、自分なりのメソッドを修正しながら築いてきた。これらのノウハウは、すべて最初から出来ていたわけではない。

少しずつ作り上げてきたものである。一夜にして出来るようになるものではない。俺とすべて同じことをすればいいじゃん。

そうすれば、君もデキルになるよ。これが、デキル営業の本音である。優秀な人はそもそも習慣が違う。

その習慣を24時間真似出来ない限り、同じように優秀になることは出来ない。経営者も、同様で、経営者には、経営者固有の習慣がある。その習慣を持ちあわせていなければ、いくら優秀でも経営者にはなれない。

つまり、属人的な習慣や才能をベースにして出来上がっているものは真似したり、近づいたりすることは本来出来ない。

誰もがそんな形で仕事に取り組むことを期待してはいけない。期待するのは自由だが、会社として期待するのは間違っている。そんな会社には未来がない。

社内のノウハウ共有の困難さ

そもそも出来ないことであるにも関わらず、社内でノウハウを共有するためのITシステムがかなりあります。

いきなり、専門用語に近い表現になってしまい恐縮ですが、そもそも出来ないことをITでやろうとすれば、

さらに、5つの困難さが追加されてしまいます。

  • 素材収集の困難さ
  • 形式知を入力させる困難さ
  • 暗黙知の形式知の転換の困難さ
  • 知識検索の困難さ
  • 知識の血肉化、分析の困難さ(体が覚えること)

もし、これを解決したいなら、師弟関係で、長い時間を掛けて行う以外方法はありません。

人は達成の見込みのない目標に努力しようとはしない

所詮無理な要求で、無理を続けている限り継続性はない。しかし、「もうあきらめました、もう無理です」とは上司には言えない。

無駄だとわかっていても、いつまでも無駄なことをやり続けている。それが組織というものです。

いつまでも、こんなことを続けていては、疲労するだけである。無理なく、効果が出るものに、変えていかなければならない。


©kokyaku.jp 2012-